マルティン・ルターが95ヶ条の論題を発表し、宗教改革が起こってから、今年で500年。2017年は「ルターの年」として、ルターにゆかりがあるドイツ各地で、様々なイベントが開催されています。

先日、テューリンゲン州アイゼナハに行ってきました。ここは学生だったルターが、1498年から1501年の4年間を過ごし、後の1521年から新約聖書のドイツ語訳を行った場所です。

 

ルターが生み出した数々の言葉

 
ルターが聖書のドイツ語訳を行ったのは、ユネスコの世界遺産に登録されているヴァルトブルク城。ルターが翻訳作業に没頭していた部屋の壁には、ルターが悪魔にインク瓶を投げつけた時にできたシミがあるという伝説があります。かくいう私も、インクのシミを楽しみに行ったのですが−−。

ルターの部屋に入って目にしたのは、ボロボロの壁。なんとこの伝説を聞いて訪れる人が、記念にと、壁の一部を持って帰っていたそうなのです。そしてシミが剥ぎ取られると、その後に来る訪問者のため、わざとインクのシミをつけたりしてきたそうです(現在はもちろん、壁に触ることはできませんが)。

そして、インクのシミだと語り継がれてきた壁のシミの正体も教えてもらいました。実はそばにある暖炉から火の粉が飛んできてできた黒いシミだった、ということです。

好天に恵まれ、ヴァルトブルク城への散策はとてもいい思い出になったのですが、私が個人的に見ごたえを感じたのは、ルターが学生時代に住んでいたとされるルターハウス。古い、美しい木組みの家で、今年のルター年のために改修し、2015年に再オープンしたばかりでした。

ルターハウスには、聖書のドイツ語訳にまつわるルターのドイツ語への取り組み、またルターのドイツ語が文学や音楽、そして今日我々が使っているドイツ語に与えた影響をテーマにした興味深い展示物がたくさん。

聖書をドイツ語に翻訳する、と一言でいっても、当時は聖書で使われていた言葉はドイツ語にはなかった上、いわゆる標準ドイツ語というものもなかった頃。ルターは聖書の言葉を文字通り訳すのではなく、これを読むであろう様々な人に意味が伝わることを最優先に考えながら、新しい言葉、新しい言い回しを作っていったそうです。

そうして生まれたドイツ語による聖書は、ルターの願い通り、多くの人に読まれるようになり、そこで使われている言葉も多くの土地で使われるようになっていきました。まさにそのドイツ語が、今日の標準ドイツ語と言われるドイツ語に発展していったのです。

ルターハウスは、ドイツ語の世界へと誘ってくれる、オススメの場所です。

 

Foto: © Stiftung Lutherhaus Eisenach (Anna-Lena Thamm)

Stiftung Lutherhaus Eisenach

開館時間:10時から17時まで
(11月から3月までは月曜休館)

入場料金:大人6ユーロ
(学生4ユーロ)

ルター年2017:ルターとドイツ語

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