長くなっていますが、どうぞおつきあいください。前回の記事「前3回の問題の解説」からの続きです。

 

ある動詞が、ほかの動詞の不定詞と一緒に使われている場合、完了形にするときは、過去分詞ではなく、不定詞を用います(Ersatzinfinitiv:代替不定詞)。
ドイツ語では普通、単一文(…は~である)に、動詞は1つしかないので、“ほかの動詞の不定詞と一緒に使われる動詞”というのは、うれしいことに(?)そんなに多くありません。例えば、
■話法の助動詞(können, sollen, wollen, müssen, mögen, dürfen)
– Ich will das machen.

■lassen(使役)
– Ich lasse die Tür öffnen.

■brauchen
– Du brauchst mich das nicht fragen.

■sehen, hören, fühlen などの知覚・感覚動詞
– Ich sehe dich kommen.
– Ich höre dich weinen.

■そのほか、heißen, helfen, lehren, lernen, machen, bleiben, gehen, fahren など
– Ich lerne lesen.

くらい。それに、これらの動詞がすべて、完了時制で代替不定詞を取るわけではありません。代替不定詞をとるのはほんの一部です。

 
完了時制で必ず代替不定詞を取るものは、

■話法の助動詞(können, sollen, wollen, müssen, mögen, dürfen)
■brauchen
■lassen(使役)*ただし例外として、liegen lassen, fallen lassen, stecken lassen, stehen lassen といった表現など、不定詞でも過去分詞でも両方OKというケースも有り(参考:Duden Sprachtipps)

 

代替不定詞をとるが、まれに過去分詞が使われることもあるのが、
■sehen
■heißen

以上をおさえておけば、代替不定詞の問題は、大丈夫です。

そのほかは、
■hören
■fühlen
■helfen
は不定詞でも過去分詞でもどちらもOK、

■machen
■lehren
では、代替不定詞が使われることがまれにあるが、だいたい過去分詞、
あとは“普通”に過去分詞が使われます。

 

 

最後になりましたが、最初の問題を少し振り返ってみたいと思います。

Das habe ich nicht kommen ( )!
a) sehen
b) gesehen

sehen は、ほかの動詞の不定詞とあわせて使われるとき、完了形では「gesehen」ではなく「sehen」と代替不定詞をとるので、答えは「a」としましたが、まれに「gesehen」も使われるということですので、
Das habe ich nicht kommen gesehen. でも文法的には決して間違いではないんだと思います。

でも、わたしが聞く限り、ネイティブスピーカー(北ドイツ)は「gesehen」は間違いだと言い張るし、実際このような文章で「gesehen」が使われているケースを耳にしたことはありません。
地方によって異なるのかもしれません。もしみなさんの中に「gesehen」が使われているよーー、という方がいらっしゃいましたら、どうぞ教えて下さい。

 

さてさて、解説は以上になりますが、おわかりいただけましたでしょうか?

キーポイントは、話法の助動詞(können, sollen, wollen, müssen, mögen, dürfen)、brauchen、lassen(使役)、sehen、heißenが、ほかの動詞の不定詞と使われるとき、完了形は過去分詞ではなく、不定詞が使われる(つまり不定詞が2個連なる)ということ。

 
それではそれを念頭に、最後の最後にもう一つだけ、まとめの問題を。みなさんの理解度がチェックされます。「もういいよー」、なんて言わずに、是非、是非、解いてみて下さい!できるかな?

 

Ich habe die Tür offen ( ).
a. lassen
b. gelassen

 

正解は次回に。次回は解答のほか、代替不定詞と副文での動詞の位置について、補足します。

解説:Ersatzinfinitiv(2)

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